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日本ではついに『ティンカーベル』が封切。
以前書いたように、期待度が限りなくゼロに近い状態だったのですが“腐っても”ディズニー。正規でお金を払って、一番いい状態で鑑賞してから正しいジャッジをしようと思って、観ました。
期待してなかった理由は、そもそもビデオスルーのフル3DCGムービーという製作体制。
数年前にはDVDに予告編が収録されていたにもかかわらず、ディズニーのクリテイティブ責任者にラセターが就任して、止めたがっていると伝え聞いていました(※ファンの伝聞)。事実、その後パタリと続報が無くなり、製作が中止になったように見えていました。ところがここにきて全4部作でシリーズ化と大々的に宣伝。いったいどういうこと? 調べてみると劇場公開したのはロシア、メキシコ、アルゼンチン。日本はそれに続く4カ国目。基本的にはビデオスルーが圧倒的に多い。製作もファンには悪名高いトゥーン・ディズニー製(ビデオスルーを多く手がけるスタジオ)。
いやいや、色眼鏡は良くない。制作費が安くても脚本・演出面でカバーした面白い作品はありえなくない。過去には
『グーフィー・ムービー』なる傑作もみているわけだから、状況だけでジャッジするのはイカンと思うのですよ。たとえ監督が『ポカホンタスU』『ノートルダムの鐘U』の人でもね……。
結果は良かったですよ!
……ジョエル・マクニールの曲が!!
あと褒めるべきは……。どこだろう。
『ピーターパン2』もビデオ用に製作し始めて、その出来に劇場公開へと格上げになった経緯があったけれど、おそらく原作者のもつイマジネーションや表現がすばらしいのでしょう。引用されるフレーズや、イマジネーションは映像化されてもイイと思える。
結果的に導入部と、エンディング間際は映画館で見るのに興奮を感じる映像&音楽でカタルシスがありました。
裏を返せば導入部以降の本編に魅力をまるで感じられないというか……。
画面の全体にピンがあったようなクリアーな画像や、カメラ移動の軌道が数式を感じるようになめらかだったりと、一昔前のCGを感じさせる仕上がり。カット割りも費用のかかる場面を避けてるきらいがあって、たとえばティンクが他の妖精に水しぶきをかけるシーンでは、水しぶきを描かず、“失敗した”という表情をしたティンクの顔とSE(サウンドエフェクト)。カットが切り替わると、みんながずぶ濡れで睨んでいるといった演出。
エンドクレジットのスタッフの名前のほとんどがアジアンな響きなので、予算の厳しさを感じてしまいました。厳しい予算で、と条件付ならば「その割りにがんばっていた映画」だったと褒めたいです。
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物語はティンクの誕生シーンから始まります。バリの小説の表現をそのままナレーションで使い、「生まれたての赤ん坊が初めて笑い声を上げるとき、またひとり、小さな妖精が誕生します。」と読み上げ、イマジネーションを忠実に再現。 以下、妖精の谷、ピクシーホロウについたティンカーベルは“ものづくり”の才能を見出され、ものづくりの妖精の集団に属するのですが、本人は華やかな仕事をする妖精が羨ましく転職を願って、様々仕事にチャレンジしていきます。でも、そのチャレンジが裏目に出て、ピクシー・ホロウは大混乱。春を運ぶ準備を台無しにしてしまい、季節を届けられないピンチに陥ります。
全体を通して思うことは、結局ティンクが起こした不始末を解決しただけにも思え、ティンクの成長はあるにせよプラスを感じない展開。他の妖精の手伝いの失敗の数々はギャグとしてもキレはない。手伝った体験が後半に活きてくるかと期待していたけど、それも……。
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