メアリー・ブレア展/東京都現代美術館 〜一度じゃ見切れない!
2009-08-17


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この夏のイベントの中でも、ある種の覚悟が必要で、なかなか足を運ぶことが出来なかった展示がこの「メアリー・ブレア展」。

その覚悟のひとつは時間。たっぷり、じっくり見たいと思うと、片手間で足を運んでもきっと中途半端になって気持ち悪いものになりそうな予感。そして場所。東京都現代美術館はアクセスの悪い美術館なので、盛夏の日差しの中、歩いて向かう道を思うだけで覚悟が必要。ほんでもって別の覚悟が必要なのが、出費。これはディズニー関係全般に言える事だけど、カツカツで行くと後悔する何かがきっとある。商魂たくましいだけでなく、きちんとツボを突いてくるから!

夏休みも後半戦に突入し、10月までやってるとは言っても、何があるか分からないから、ここらで行くぞと勢いをつけて飛び込みました。
3時間弱の時間をかけて鑑賞したけど、やっぱり時間が足りない!
もう一度こなければだめかなぁ!
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そろそろ20数年選手のディズニーファンの自分にとって、メアリー・ブレアは名前も意識してずいぶんたつし、その画風もとても印象的。でも、どれだけのことを知っているかと言うと、今回の展覧会の内容を見て「ぜんぜん知らなかったんだな。」と思う、充実の内容。自分にとってM・ブレアと言えば50年代に活躍したディズニー・アーティストで「小さな世界」のデザイナー。その絵の持つ魅力は代表的な50年代テイスト。そんなイメージを抱いていました。

ところが、その認識は半分はあっているけど、半分は間違いで、まったく足りてない。驚いたのは短編アニメ創世記の時代から現場で活躍していたキャリアの冒頭部分。そんなに長きに渡って現場に居た人だなんて、まったく知りませんでした。おまけにディズニー社員だった時代はむしろその前半のわずかで、後の活躍は外部のフリーランス・アーティストとして契約していただなんて、まったく自分の思う経歴は間違っていて、そこからして土台が違っていました。

展示はM・ブレアと周辺のアーティストを並列比較する形で、時系列順。変貌していくスタイルも良く分かるし、M・ブレアの心情変化も感じさせる良い展示順です。職場で親交の深いアーティストとしてマーク・ディビスの作品やその妻の衣装デザインも並ぶ。職場環境にも展示が及び、アニメーション・スタジオという集団作業の仕事を伝えていて、感じさせてくれるのもすばらしい。

女性が男性の職場で活躍するのが難しかった時代に、どんな苦労があったのか偲ばれます。M・ブレア自身の言葉である 「私は“3つの仕事”をした。妻であり,母であり、そしてプロアーティストだった。」 を、提示しつつ、適度に鑑賞者に委ねる距離感も自分には心地よかったです。特に家庭環境に対する悩みは、解説もあり伝わるのですが、解釈を押し付ける形でなく、作品を描いた時代をレポートする形で抑えられていました。
(詳しい説明が欲しい人には音声解説キットが500円で貸し出されており、詳細な説明を耳から流し、同時に鑑賞できるようになっています。今年の解説音声は池田昌子さんだそうです。)
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M・ブレアの作品の中で印象深かったのは初期の水彩画と、「三人の騎士」時代のスケッチです。慣れ親しんだ作風とのギャップによる部分も大きいですが、人のなりと根本的なものを感じられました。 またディズニー作品の「三人の騎士」は今までM・ブレアとの関連性を意識していなかったので、指摘されて配線が繋がった快感を味わいました。なるほど、あのサイケデリックながら落ち着きも備えた色合いは正にM・ブレア色。

そしてアニメ・ファン的に基本事項を知らなかった、すごく大きな驚き。「ドルーピー」などテックス・アベリー作品で有名なプレストン・ブレア

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