『兵隊ぐらしとピカドン』江戸家猫八・著
2006-08-15


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終戦記念日だけでなく、常に考えるべきなのでしょうが、やっぱりきっかけがあると想いをめぐらせます。

88年ごろから自分は江戸家猫八さんの高座を目当てに寄席にいってました。その頃、著書も読むようになって出会ったのがポプラ者の「のびのび人生論」に書き下された3冊の自伝でした。 のびのび人生論シリーズは赤塚不二夫、石ノ森章太郎、水木しげる、淀川長治、岡本喜八、川上哲治、などなどバラエティーに富んだ著名人が子供に向けて自分の半生を語る好シリーズで、次世代に伝えるべきことを分かりやすく真面目に書いた作品が並ぶシリーズです。

その中で猫八さんは『我輩は猫ではない』『兵隊ぐらしとピカドン』『二足のわらじをはいた猫』の3冊を発表しています。装画、挿絵の馬場のぼる先生の絵が『11匹のねこ』のままのキャラクターで、そこも嬉しかった本です。
話芸と同じく、笑いと人情話を交えながら語られる展開は笑いながら感情移入させられてホロリとさせられる読後感の気持ちよいもの。
その中でも『兵隊ぐらしとピカドン』は映画の新兵モノのようなとぼけた感覚の兵隊暮らしと突然降って来た原爆体験、そして終戦までをつづるものです。原爆体験の描写は実体験ならではの胸に迫るものがあります。

あとがきとして1冊目の反響が同世代の年配者からが多く、子供達に読まれているのか伝わっているかを心配する著者の言葉があります。1983年初版の本なので世代的に自分はターゲットだったはず。
今更ではありますが、胸に残る一冊として表明しておきたい一冊です。
[エンタメ雑感記]

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